記事内に商品プロモーションを含む場合があります
就寝前のひととき夢に至るまでの道すがら
休日の心休まるひととき
つかの間の時間、現実と乖離させて空想の世界を見渡す感覚
私の読んだ本の中でおすすめしたい一冊です
アルケミスト 夢を旅した少年
羊飼いの少年サンチャゴは、その夜もまた同じ夢を見た。一週間前にも見た、ピラミッドに宝物が隠されているという夢――。少年は夢を信じ、飼っていた羊たちを売り、ひとりエジプトに向かって旅にでる。
アンダルシアの平原を出て、砂漠を越え、不思議な老人や錬金術師の導きと、さまざまな出会いと別れをとおし、少年は人生の知恵を学んでいく。
「前兆に従うこと」「心の声を聞くこと」「何かを強く望めば宇宙のすべてが協力して実現するように助けてくれること」――。
長い旅のあと、ようやくたどり着いたピラミッドで、少年を待ち受けていたものとは――。人生の本当に大切なものを教えてくれる愛と勇気の物語。KADOKAWAより引用
その本は、夜の帳が降りる頃、本を愛する人々の集まりで、偶然私の手元にやってきました。タイトルは『アルケミスト』。錬金術師と聞けば、派手な冒険を想像していましたが、ページをめくると現れたのは、羊飼いの少年。夜の静けさに似合う、とても牧歌的な物語がそこにはありました。
読み進めるうちに、これは単なる冒険譚ではないと気づきます。「マクトゥーブ」(それは書かれている)「幸福の秘密とは、世界のすべてのすばらしさを味わい、しかもスプーンの油のことを忘れないことだよ」といった哲学的な問いかけや、心に深く響く言葉の数々が、物語の中に散りばめられています。まるで人生という旅の道しるべを見つけたような、不思議な感覚。少年が宝物を見つけるまでの道のりは、決して楽なことばかりではありませんが、進み続けることこそが、いつか目的地にたどり着くための唯一の方法なのだと、この本は優しく教えてくれます。
この本を読みながら、ふと「もしこの物語をコーヒーに例えるとしたら?」と考えました。私なら、インドの深煎りコーヒーを薦めます。スペインからエジプトへと続く少年の旅には、盗難や裏切りといった苦い経験もあれば、異文化との出会いという複雑なスパイスも含まれています。一口飲むと、舌に残る苦味と、その奥に広がる複雑な香り。この本が与えてくれる学びや経験は、まさにそんなコーヒーの味わいと重なる気がします。
今、自分がどこにいるのか分からず、漠然とした不安や迷いを抱えている人に、この本を読んでほしいです。世界は常に、歩みを止めない人の味方であること。失敗からでも必ず学べること。この本が、進みたくても動けないあなたの背中を、そっと押してくれることを願っています。
コメント