就寝前のひととき夢に至るまでの道すがら
休日の心休まるひととき
つかの間の時間、現実と乖離させて空想の世界を見渡す感覚
私の読んだ本の中でおすすめしたい一冊です
さくらのまち
二度と戻らないつもりでいた桜の町に彼を引き戻したのは、一本の電話だった。
「高砂澄香が自殺しました」
澄香――それは彼の青春を彩る少女の名で、彼の心を欺いた少女の名で、彼の故郷を桜の町に変えてしまった少女の名だ。
澄香の死を確かめるべく桜の町に舞い戻った彼は、かつての澄香と瓜二つの分身と出会う。
あの頃と同じことが繰り返されようとしている、と彼は思う。
ただしあの頃と異なるのは、彼が欺く側で、彼女が欺かれる側だということだ。
人の「本当」が見えなくなった現代の、痛く、悲しい罪を描く、圧巻の青春ミステリー!実業之日本社より引用
いつだったか、「間に合わなかった恋が一番美しい」的なことを三秋がツイートしていた気がする。
「現在のヒロイン」との描写が一切ない三秋作品、新鮮だった。これまでの作品も素晴らしかったが、ヒロインとのコミュニケーションで主人公が変化していく様子に野暮ったい違和感を覚えてもいた。今作では開幕時点で既にヒロインは死んでいて、その真相を追うというミステリ調の仕立ても相まって、高砂澄香への恋はある種の神聖さを帯びていた。
三秋作品の男、救いようのない俺達を描いているように感じてしまうよ。いい作品だった。ブクログのレビューより引用
過去の思い出ほど綺麗に見えるもの
綺麗に見えるほど、喪失感も大きくなる
どれだけ分かり合っていると思っていても
どれだけ似た感性を持っていると感じていても
結局は他人
誰が間違っていたわけでも、誰が悪かったわけでもない
誰かを大事にするように、自分を大事にしたが故の言葉足らずが招いた物語
記憶に翻弄されて思い出に生かされていた主人公
サクラは咲いて枯れるもの。
この物語の結末がバッドエンドなのかハッピーエンドなのかは読み手の人生によって変わるのかなと思いました。
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